寺田匡宏による連載『思考のかたち、雲のかたち』の第7回「女たちの読みかえ」が掲載されました。
第7回「女たちの読みかえ」
寺田匡宏『思考のかたち、雲のかたち』 第7回「女たちの読みかえ」 「女たちの大江健三郎」という対談が文芸誌に載っていた。工藤庸子と尾崎真理子の対談である。工藤はその雑誌で大江作品の批評を連載しているフランス文学研究者で、尾崎は2年ほど前に完結した『大江健三郎全小説』全15巻の巻末解説を一人で書いた読売新聞の元文芸担当記者。その二人が、このほど刊行された尾崎の『大江健三郎全小説全解説』の刊行を記念して語り合ったというのがその対談だ。それを読んでみると、なるほどと思わされた。大江健三郎は男性の作家だが、女性の視点から見ると、その作品の中にはきちんと女性が描かれていて、とりわけ女性の苦難を描いているというのだ。…
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