思考のかたち、雲のかたち

寺田 匡宏

思考と雲は似ている。
どちらも宙に浮かぶもの。
どちらも形のないもの。
どちらもうつろい動くもの。
どちらも消えゆくもの。
名前の付いた雲もあるし、名前のつかない雲もある。
名前の付いた思考もあるし、名前のつかない思考もある。
いい雲があれば、悪い雲もあり、いい思考があれば、悪い思考もある。
雲が浮かぶ日があり、雲が浮かばない日があり、思考が浮かぶ日があり、思考が浮かばない日がある。
どちらも、存在するともいえるし、存在しないともいえる
そんなものを、どうすれば、それをとらえることができるのだろう。
一つだけいえるのはどちらも、その底に、この世の存在があることだ。
雲は、水分子からできているし、思考は、人間から生まれる。どちらもが、しっかりと、この世界に根を下ろした存在物だ。
そこに根がある限り、その根をたどっていけば、それをとらえることはできるに違いない。
そんな根をさがす旅に出てみたい。