寺田匡宏による連載『思考のかたち、雲のかたち』の第8回「イマージュのダンス――意識空間の構造と自己・脳・機械・未来」が掲載されました。
第8回「イマージュのダンス――意識空間の構造と自己・脳・機械・未来」
寺田匡宏『思考のかたち、雲のかたち』 第8回「イマージュのダンス――意識空間の構造と自己・脳・機械・未来」 1人間に言語が発生したのがいつかはまだよくわかっていないが、進化言語学や進化人類学が明らかにしているところでは、およそ数万年前ではないかいわれている。言語を記録する媒体である文字が生じたのは、2千年くらい前の古代バビロニアにおいてであるから、それに数万年先行する言語の発生の時点では文字を記録する媒体は存在しなかった。 では、記録する媒体が存在しないのに、なぜ言語がその時に発生したといえるのかというと、考古学者は、それをシンボル(記号)の発生と読み替え、ものとして、シンボルとみなされる遺物が発生することと同時に言語が発生したと考えている。幾何学的模様が描かれた粘土やビーズ状に加工された貝殻などが遺跡において見出されるのがその数万年前の時点である[1]。…
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