清水 貴夫
Takao Shimizu
1974年埼玉県浦和市生まれ。京都精華大学人文学部 准教授、総合地球環境学研究所客員准教授。明治学院大学国際学部を卒業後、民間企業に4年間勤務。その後、フランス語学留学、名古屋大学大学院博士課程後期を満期退学、総合地球環境学研究所、広島大学、京都精華大学アジア・アフリカ現代文化研究センター 設立準備室 研究コーディネーター、総合地球環境学研究所・外来研究員、一般財団法人 地球・人間環境フォーラム・フェローを経て現職。
清水貴夫は、2003年にNGO活動に従事し、その後研究に転身。
主にブルキナファソの都市の若者、子どもたちに焦点を当てたいくつかのテーマについて研究を進めています。
人びとと語り合い、生活を共にしながら、課題に取り組んでいます。
ここでは、中心となる3つの研究テーマを紹介します。
1つ目は、ワガドゥグのラスタファリアンの研究です。ラスタファリアンは、ジャマイカなどの奴隷経験を持つ祖先をもつアフリカ出身者たちによって始まった、反植民地主義的かつアフリカ第一主義的な思想、運動を担う若者たちのことです。レゲエ歌手が典型的なイメージです。多民族、多宗教な多様な背景を持つ若者たちが、「アフリカ的」というアイデンティティを共有することで、結びついている様子から、アフリカ的なラスタファリアンの在り方を描きました。
2つ目の研究は、ストリート・チルドレンに関するものです。ラスタファリアン、ストリート・チルドレン、共にストリートを中心的な生活の場としていますが、彼らの間にはほとんど交渉はなく、それぞれが1980年代に注目を浴びるようになった都市の子どもたちは、居場所を失った貧困状態にあるとされました。ブルキナファソでも数千人に上ると言われるこうした子どもたちが、どのような背景からストリートで生活するようになったのか、ということを考えています。とても興味深いのが、社会からの逸脱者とみなされがちな子どもたちが、実に素直でしっかりとした会話ができることでした。そして、その背景に目をやっても、もちろん、貧困や家庭不和が原因でストリートにやってきた子どもも少なくないものの、その多くが、伝統的なイスラーム教育に纏わる背景を持った子どもたちでした。本来のストリート・チルドレンとは様相が異なるこうした子どもたちをストリート・チルドレンにするのは(と呼ぶのは)だれか、そして、なぜそう呼ばねばならなかったかを明らかにしようとしています。
3つ目の研究は、2つ目の研究から派生した、子どもたちと宗教(イスラーム)に関わるものです。ブルキナファソをはじめとする西アフリカのイスラーム圏には、クルアーンを学ぶ私塾が数多くあります。近年、こうしたインフォーマルな私塾に代わり、この地域にも近代教育が広まってきましたが、イスラーム教育はいくつかの方向に形を変えて維持され、現在も人びとの強い支持を受けています。なぜイスラーム教育が、人びとの支持を集めるのか。そこには、「教育」が目指してきた学力の向上のみが、必ずしも人びとが望むものではなかったことが考えらえます。教育とはなんなのか。子どもが育つ環境はどうあるべきなのか。ブルキナファソの教育と子どもたちの生活から、こうした普遍的な問いを考えています。
これまで西洋の視点から語られることが多かったアフリカは、いま、グローバル化のもと、独自の芸術や文化を新たな地点へと育み、価値を見出しはじめている。
その動向はアフリカ大陸だけでなく、ヨーロッパやアジアなど移住/離散した先においても、ふつふつと芽を出し開きはじめているのだ。
本書では15の領域から、現代のアフリカ文化を切り開く。
京都精華大学アフリカ・アジア現代文化研究センター開設連動企画
人口十億人の半数を子どもが占めるアフリカ。彼らはどんな風景を眺め、どんなふうに家族や仲間と過ごし、遊び、学び、働いているのか。フィールドワーカーが現地で出会った子どもたちを主役に描き出す。アフリカの現在を学びたい人に最適の入門書。
ウスビ・サコさん(京都精華大学学長、アフリカ出身として初の日本の大学学長)、高野秀行さん(ノンフィクション作家、『辺境メシ』などの著者)も太鼓判!“アフリカを胃袋で知る男"アフリカ人類学者・清水貴夫が招待する目くるめくブルキナファソと西アフリカの食の世界!
映像作家の澤崎賢一が、ウェブマガジン「シネフィル」で、ブルキナファソで清水の調査に同行した際の様子を綴っています。カメラマンの目線で、調査の様子や現地の人々の暮らしが綴られた記事です。